モダナイゼーション案件を数多く見てきた筆者の経験を基に、実際に起こり得る問題や現場の葛藤を架空の「事件簿」として紹介する本連載。今回紹介するのは、最先端のゲームプラットフォームを提供するA社で起こった事件だ。 40年ぶりのシステム再構築を襲った大誤算 A社は、ゲームソフト会社とライセンス契約を結ぶことでゲーム分野のビジネスを拡大してきた。ところが同社のライセンス管理と支払い請求を長期にわたって支えてきたシステムの老朽化が問題になり、40年ぶりに刷新することになった。 システムを刷新すれば、経営者が自社の状況を迅速に把握して意思決定ができるようになる。ただ現行システムは財務会計と管理会計が複雑に入り組んでおり、再構築は一筋縄ではいかないと予想された。そこで複数の会社でCIO(最高情報責任者)を務めてきた「プロCIO」のB氏が新たに参画することになった。 3年間に及んだプロジェクトが終わりに近