現在のイスラム世界は、欧米が「革命」とおだてた一連の独裁政権崩壊事件から1年を経たが、将来に何の展望も見えないまま、むしろ前より状況が悪くなる傾向が見えている。 そうでなくとも、中国やインドが近代化に向けて目覚しい経済発展を遂げる中、イスラム世界だけがそこから取り残されて一人、遅れた停滞状態を続けている状況にあり、この数十年間、近代化の試みはほとんど失敗して、欧米からはイスラム文明自体が欠陥を抱えた落第生のレッテルを貼られている。 ではどうしてイスラム世界では近代化がうまく行かなかったのだろうか。しかし筆者に言わせれば、方法論そのものに最初から欠陥があり、そもそもその処方箋の手本を誰に求めるかについて、完全に尋ねる相手を間違っているのである。 結論から先に言えば、日本の幕末から明治維新に至る歴史的事例をケーススタディの筆頭に置き、そこと科学技術との関連から答えを導き出す、という方法を採らな