日本において、セクハラはいつ頃から認識され、社会のなかでどう捉えられてきたのだろうか。女性の生き方についての著作が多いエッセイストの酒井順子さんが、100年分の雑誌をもとに読み解く。(取材・文:篠藤ゆり/撮影:木村直軌/Yahoo!ニュース 特集編集部) 日本で初めてのセクハラ訴訟が起こされたのは、1989年である。福岡市内の出版社に勤務していた31歳の女性社員が退職後、上司だった37歳の男性編集長と元勤務先の会社を相手に起こした民事裁判だ。裁判は注目を集め、「セクシャル・ハラスメント」が同年の新語・流行語大賞で新語部門・金賞に選ばれる。1992年、原告女性が勝訴し、編集長と会社は165万円の支払いを命じられた。 「流行語になったことで、『それ、セクハラですよ』と言える空気が生まれたのだと思います。とはいえまだ、『昔はみんなやっていた』『大したことじゃない』という感覚の人が多く、真剣には捉