企画特集 3【神奈川の記憶】 (117)ウナギをめぐる民俗学 かつては龍の化身とされたウナギだが、今では夏の風物詩。食べないタブーは関東地方では栃木県に多かったという=横浜市中央卸売市場 神奈川大の佐野賢治教授。民俗学が専門で、日本民具学会の会長などを歴任。「虚空蔵菩薩信仰の研究」「星の信仰」「現代民俗学入門」などの著作がある 横須賀市鴨居の能満寺の本尊「木造虚空蔵菩薩座像」。室町時代の1399年の作で、古くから地域の信仰を集めてきた。右手に剣、左手に玉を持っている ■「丑・寅生まれ」禁忌なぜ ◆仏教・伝説…文化の地層を再発掘 夏になると恋しくなるウナギだが、そのウナギをめぐりとても興味深い話を、民俗学者の佐野賢治神奈川大学教授から聞いた。 「ウナギを食べないという地域や集団のあることを知っていますか」 そんなことを問いかけられたのがきっかけだった。丑(うし)年と寅(とら)年生まれの人は食