9万年前に阿蘇山で起きた巨大噴火は、九州北部を壊滅させただけでなく、瀬戸内海を越え、その範囲では生物がほぼ死滅しました。このような規模の噴火を「破局的噴火」と呼びます。火山列島・日本、これからもそんな噴火が起きないとは限りません。破局的噴火が万一起きたら、原発はどうなるのか――。 山口市中心部から車で北東に約1時間。廃校となった中学校のすぐそば、木がうっそうと生い茂る山あいに、その証拠はありました。佐波川上流の工事現場で去年12月、阿蘇山噴火に伴う火砕流がたい積した地層が見つかったのです。鉱物が混じり、ザラザラしています。山口大学大学院の辻智大助教は「黒と黄色が混ざったような色の地層で、分析したら約9万年前に阿蘇から来た火砕流の化学成分だとわかるんです」と熱を込めて語りました。 九州・熊本県の阿蘇山の巨大噴火で発生した火砕流は、瀬戸内海を隔てた山口県や愛媛県でたい積物が確認されていて、「海