少年たちによる野宿者襲撃がなくならない。事件を防ぐため、学校現場に何ができるのか。広がる貧困や雇用の現実をどう教えればいいのか。教職員や支援者による授業づくりの全国ネットが発足し、取り組みが広がり始めた。【磯崎由美】 「今日は椅子取りゲームをやります」。杉浦真理(しんり)教諭(45)のかけ声で、生徒たちが教室の中央に椅子を集めた。 京都府宇治市の立命館宇治中学校・高等学校。昨年12月、高校2年の政治・経済でワークショップ形式の授業があった。生徒たちは既に毎日新聞くらしナビ面の連載「働けど ’08蟹工船」を読み、格差について学んだ。何が始まるか察した子も多いようだ。 まずは男女各10人が並べた椅子の周りに立つ。椅子は14個だが、半分に「男性専用」の張り紙がある。教諭が音楽を流し、ストップ。男子は全員座れ、女子6人が脱落した。「ずるいよこのゲーム」「女性専用はないの?」。女子からブーイングが上