長い間このブログを更新できなかったのは、ハーバード大学での特別研究員生活の終了に向けて数多くの執筆に取り組まなければならず、博士課程の研究計画書などを仕上げたり、近く刊行予定のアレクサンドラ・ブラー(1962-2007) の本のため、1カ月インドネシアに滞在して彼女に関するエッセーを書いたりする必要があったためだ。本は彼女の母親アニー・ブラーによって出版される。 フォトジャーナリストのアレクサンドラ・ブラーの噂は、彼女に会うずっと前から聞いていた。彼女は色々な言葉で形容された(大抵は男性からだ)。気まぐれだとか、手がかかるとか、謎めいているとか、美人だ、など。実際の彼女はこの全てに当てはまっていたが、それでもまだ序の口だった。 私がアレックス(アレクサンドラ)に初めて会ったのは、93年の冬だった。ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボにあるホテル「ホリデイ・イン」の食堂で、薄暗い蛍光灯の下