■■第1章:ナチスとアメリカの優生学者は親密な関係にあった ●「優生思想」とは、劣等な子孫の誕生を抑制し優秀な子孫を増やすことにより、単に一個人の健康ではなく一社会あるいは一民族全体の健康を計ろうとする思想をいう。それゆえ、「優生学」は「民族衛生学」とも呼ばれる。 ●ドイツの歴史学者シュテファン・キュールが書いた『ナチ・コネクション』(明石書店)という本では、アメリカの優生学者とナチスの親密な関係が紹介されている。この本を読むと、人種改良のイデオロギーは、決してドイツの科学者だけのものではなかったことが分かる。 戦後にドイツを裁いたアメリカこそが、実はナチスの優生政策の先駆者だったのであり、戦前のヨーロッパにはドイツの他にも優生政策を推進した国があり、福祉国家スウェーデンでは戦後も根強く優生政策を存続させていたのだ。 『ナチ・コネクション』 シュテファン・キュール著(明石書店) アメリカの