- 「クソッタレの世の中に噛み付いて生きて行こうとずっと努力してきた。でも、それはもうやめにしよう。クソッタレの世の中だからこそ、傷つき、涙している人たちがいる。俺はその人たちに寄り添いながら生きていこう」(義家弘介『ヤンポコ ーー母校北星余市を去るまで』文春文庫) 「クソッタレの世の中」という言葉に注意しよう。この言葉には、後にふれるヤンキーの社会に対する関心の希薄さにも通ずるような、曖昧な汎用性がある。つまりいつの時代でも通用することば、ということだ。 義家は確かに変わったのかもしれない。変わっていないのは社会が「クソッタレ」であるという認識である。そんな社会に正面からぶつかっていくか、あるいは社会の犠牲者に寄り添うのか。いずれにしても義家は、まず社会を否定するところから「闘い」をはじめようとしている。つまり、それこそが彼の「変わらなさ」である。 僕の持論はこうだ。人はしばしば変わるこ