松本市浅間温泉の旅館「富士乃湯」は20日、同館に引いている源泉の湯を希望者に無料で配る「源泉テークアウト」を始めた。新型コロナウイルス感染拡大防止のため19日から臨時休館中だが、源泉からの引湯は続けている。外出自粛で不安な日々を送る市民が自宅で温泉気分を楽しみ、癒やしになれば―と発案した。 同館の湯はアルカリ性単純温泉で、美肌や筋肉痛などに効果があるという。5月6日までの臨時休館中も毎日約25トンの引湯は続けているが、利用客がおらず排水するだけになってしまう。代表社員の二木(ふたつぎ)伸次さん(53)が「温泉地は人々が笑顔になる癒やしの場であるべきだ」と企画した。 新型コロナの影響で4月上旬〜中旬の売り上げは前年同期比9割減。経営は苦しい一方、常連客らが将来の宿泊料金を前払いして支援する動きも出ている。湯の無料提供は、恩返しの思いも込めた。 同館は一部朝食メニューの持ち帰りサービスも始めた