「株主を重視しない経営」(日本経済新聞社、江川雅子著)を頂いた。 これまでのコーポレートガバナンスの議論では、日本企業が株主を重視してこなかった理由として、①間接金融が中心でメインバンクが経営者を規律づけてきた、②株式持合いの弊害、③日本企業は従業員が力をもち、内部昇進した経営者が力をもってきた、といった理由が掲げられてきた。 これに対して本書は、「戦後日本企業の経営者が株主を重視しなくなったのは、株式市場の機能不全(発行市場の欠陥と、株価形成の非効率性)と投資家の短期的・投機的傾向が重要な要因である」という自説を、実証的に展開している。 そこで、考えさせられた。なぜ、米国の経営者は、株主を重視するようになったのだろうか? いくつか考えたこと: 米国の経営者は決して『株主』を重視しているわけではなく、『株価』を重視しているにすぎない。なぜなら、自分たちの報酬の大半が、株価に連動しているから