ジョナサン・サフラン・フォア初読。 宝石店主トーマス・シェルは9・11の自爆テロ攻撃で命を落とした。残されたのは、まだ少年の、一人息子オスカー。母親は、早くも別の男との仲むつまじい姿を彼にみせている。オスカーはこれからの人生を何とか続けてゆくため、懸命に"踏みとどまろう"と努めている。やがて彼は、父親の荷物のなかから見慣れぬ一本の鍵を見つけ出す。心当たりすべての鍵穴を試したその後に、彼は鍵の謎を解き明かすことを決意する…。 ある意味では9・11と残された遺族を題材にした物語であるともいえますが、むしろ本書はひとつの血族(三世代にわたる男女)をまるごと描き出すものです。 時代が変わり、国が変わっても、人間が行う殺戮という蛮行そのものは変わらない。 そのなかで心に深い傷を負い、懸命にあがきながら生きようとあえぐ、生まじめで善良で、そして不器用な人々。 そういったある意味普遍的な意味をもつ人々の
![ものすごくうるさくて、ありえないほど近い "Extremely Loud and Incredibly Close" ジョナサン・サフラン・フォア著/近藤隆文訳 NHK出版](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/126e9c63960837b5815901e11e1f6c1303c17f2b/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fblog.seesaa.jp%2Fimg%2Fogp_logo.png)