事件現場となった一戸建ての玄関先には植木鉢が荒れたまま放置されていた=神戸市須磨区で2020年10月23日午後4時53分、春増翔太撮影 黒髪をキュッと結んだポニーテール。白いブラウス。顔を上げた小柄な女性(22)は、年齢より幼く見えた。 9月、神戸地裁。幼稚園教諭だった女性は、初めて法廷に立った。同居していた祖母(当時90歳)の殺害を認め、「介護で寝られず、限界だった」と語った。親族から介護をほぼ1人で背負わされ、仕事との両立に苦しんだ末のことだった。 なぜ、社会人1年目の女性は「大好きだったおばあちゃん」を手にかけるまで追い詰められたのか。裁判を傍聴し、関係者への取材を重ねた。【韓光勲、春増翔太】
急速なデジタル化に伴い、インターネット用のサーバーやデータ通信の装置などを設置するデータセンター(DC)の建設ラッシュが、千葉県印西市の千葉ニュータウンエリアで起きている。強固な地盤がDC建設に適しているといわれ、IT業界では「INZAI」が世界に知れ渡っている。電力の需要増を見越し、東京電力も大規模水力発電所3個分に相当する電力供給が可能な超高圧変電所の新設に着手しており、DCの集積化がさらに加速する見通しで、地元では安定的な財源確保への期待感が高まっている。【橋本利昭】 大和ハウス工業(大阪市)は5日、北総線・印西牧の原駅北部で東京ドーム7個分に当たる総延べ床面積33万平方メートルの国内最大級のDC団地を建設すると発表した。数年以内に7棟の運用を開始し、今後10年間で計15棟を建設する予定だ。投資額は1000億円規模となる。同社幹部は「この3年で(デジタル)データは、自社管理から、クラ
「はやぶさ2のミッションで一番苦しかったのは」と質問され、「全部なんですけど」と苦笑いする津田雄一はやぶさ2プロジェクトマネジャー=「はまぎんこども宇宙科学館」のウェブサイトから 今年12月に地球へ帰還する小惑星探査機「はやぶさ2」の津田雄一プロジェクトマネジャーが5日、はまぎんこども宇宙科学館(横浜市磯子区)のウェブ講演会に登壇し、はやぶさ2の小惑星探査を成功に導いたチームワークを解説した。リーダーとして率いたチームは国内外の科学者ら約600人。津田さんは「たくさんのメンバーでこれだけのことができ、成果を分かち合うことができたのは、一人の人間としても人生が豊かになる経験だった」と振り返った。 はやぶさ2が探査した小惑星リュウグウは、表面がどこもかしこも大きな岩で覆われ、着陸に適した平らな場所がまったくなかった。「着陸場所が見つからない非常事態」。チームの科学者を総動員してわずかでも平らな
香港国家安全維持法(国安法)の施行で「革命」などのスローガンが禁止されたことに、香港市民が「無言」で抵抗している。香港の飲食店などには、スローガンを書いた付箋を貼って連帯を示す「レノン・ウオール」と呼ばれるボードがあちこちにあったが、施行後はボードを掲げるだけで同法違反に問われる可能性がある。そこで登場したのが、何も書いていない付箋を貼った「無言」のレノン・ウオールだ…
マイナンバーの暗証番号の設定に来る人が多く、「4時間待ち」を知らせる紙を持つ区役所職員=福岡市東区役所で2020年5月8日午後2時56分、平塚雄太撮影 1人一律10万円の特別定額給付金のオンライン申請が今月1日から一部自治体で始まった。窓口には申請に必要なマイナンバーカードの受け取りや暗証番号の問い合わせに市民が殺到。申請手続きをする政府のサイト「マイナポータル」もつながりにくい状態が続いている。しかし、実はアクセスできても早く給付金がもらえる保証はない。オンラインなのは申請だけで、後は自治体職員による手作業のため、郵送による申請より時間がかかる可能性があるという。なぜ、そんなちぐはぐなことになっているのか。【塩田彩/統合デジタル取材センター】 「子供が申請をしてしまった」 特別定額給付金は住民基本台帳に載っている人が給付の対象となる。オンライン申請は、マイナポータルにアクセスしてマイナン
細い9本の針を刺す「はんこ注射」と呼ばれるBCGワクチン接種について、誤って皮下注射し、発熱やじんましん、血尿などの健康被害が出ていたことを厚生労働省が10日、明らかにした。BCGは0歳児が対象の結核予防ワクチンだが、新型コロナウイルス感染症を予防しようと接種を受けた成人だった。乳児向けの在庫が不足しており、製造元は目的外の使用を見合わせるよう医師らに求めている。 BCGは本来、腕に塗ったBCG溶液のうち、細い針でわずかな量だけ体内に入れる。説明文書には「絶対に注射してはならない」と記載されている。同省によると、4月初め、BCG溶液を成人に全量注射し、間もなく発熱などがあり救急外来を受診したという。もともとBCGを扱っていない医療機関だったため、誤った可能性がある。
未解明だった数学の超難問「ABC予想」を証明したとする望月新一・京都大数理解析研究所教授(51)の論文が、同所が編集する数学専門誌に掲載されることが決まった。3日、京大が発表した。ABC予想は、素因数分解と足し算・かけ算との関係性を示す命題のこと。4編計646ページからなる論文は、斬新さと難解さから査読(論文の内容チェック)に8年かかったが、その正しさが認められることになった。有名な数学の難問「フェルマーの最終定理」(1995年解決)や「ポアンカレ予想」(2006年解決)の証明などと並ぶ快挙となる。【阿部周一、松本光樹】 望月教授は2012年8月、構想から10年以上かけた「宇宙際タイヒミューラー(IUT)理論」の論文4編を、インターネット上で公開した。これを用いればABC予想など複数の難問が証明できると主張し、大きな注目を集めたが、既存の数学が存立する枠組み(宇宙)を複数考えるという構想は
TBSは11日、バラエティー番組『クレイジージャーニー』(毎週水曜 後11:56)の8月14日放送回で「生息域を捜索したものの発見できなかったことから、事前に準備していた生物を放ち、撮影しました」と報告し、調査が完了するまで放送休止することを発表した。調査により、過去11回の放送で事前に準備していた生物は、合計15種類にのぼることも明らかになった。 【写真】MC陣は…ゲストの魅力を引き出す松本・設楽・小池 問題となったのは、爬虫類ハンターの加藤英明氏がメキシコに生息する珍しい生物を探し捕獲する旅に同行取材する企画。放送では6種類の生物が紹介されたが、このうち4種類は、番組スタッフが現地の取材協力者に依頼し、ロケの前に準備していた生物を使って撮影していた。 番組公式サイトでは「準備していたものを、あたかもその場で発見したかのように描いた今回の手法については、事実に依拠した番組で事実を歪めたこ
印刷に使う手製の照射装置を扱う伊藤真陽・京都大高等研究院特定助教=京都市左京区で2019年6月17日午後0時32分、南陽子撮影 クジャクの羽やコガネムシの体など光の当たり方で色が出る「発色構造」を人工的に作り、インキを使わず印刷する新たな技術を京都大高等研究院の研究グループが開発した。構造を使って発色させる手法は以前からあったが、より簡易、安価な印刷を可能にし、普及の可能性を広げる。高精細で極小サイズの画像も印刷でき、色あせない。研究成果は20日、英科学誌ネイチャー電子版に掲載される。 開発したのは、同研究院物質―細胞統合システム拠点(iCeMS)で、材料科学を専門とするシバニア・イーサン教授と伊藤真陽(まさてる)特定助教らのグループ。
2017年に愛知県内で抵抗できない状態の実の娘(当時19歳)と性交したとして準強制性交等罪に問われた男性被告に、名古屋地裁岡崎支部が「被害者が抵抗不能な状態だったと認定することはできない」として無罪判決(求刑懲役10年)を言い渡していたことが4日、分かった。判決は3月26日付。 公判で検察側は「中学2年のころから性的虐待を受け続け、専門学校の学費を負担させた負い目から心理的に抵抗できない状態にあった」と主張。弁護側は「同意があり、抵抗可能だった」と反論した。 鵜飼祐充裁判長は判決理由で性的虐待があったとした上で「性交は意に反するもので、抵抗する意志や意欲を… この記事は有料記事です。 残り329文字(全文611文字)
高松市サンポートにある「サンポートスケートパーク」で、正体不明の路上芸術家、バンクシーの作品に似た絵が描かれているのが見つかった。施設を管理する市は本物かどうか確かめることを検討しているが、「著名であるかどうかにかかわらず、公共物への落書きはやめてほしい」と困惑気味だ。 今月6日に市都市計画課へ市民からメールで連絡があり、同課が調査。平面台とスロープに、傘を差したネズミのよ…
「コマンドを正確に確実にはやぶさ2へ届けたい」と話す深野佳代さん(右)と石出大輔さん=東京都文京区のNECネッツエスアイで2019年1月23日、池田知広撮影 今月22日に小惑星リュウグウへの着陸に挑む探査機「はやぶさ2」は、綿密に練られた地上からの指示によって運用され、順調な旅を続けてきた。その指示を正しく探査機へ送る「運用支援者」を担うのが、NECネッツエスアイ(東京都文京区)の深野佳代さん(30)、石出大輔さん(37)ら4人だ。指令が正しく送られなければトラブルにつながりかねない「運用最前線」に立つ。2人は「緊張の連続だが、焦らず確実に正しいコマンドをはやぶさ2へ届けることで、着陸を成功させたい」と話す。 同社は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の歴代の衛星や探査機の運用支援者を担当してきた。はやぶさ2には深野さんら4人が配属され、2014年の打ち上げ以降、すべてのコマンドを4人が送っ
外国人労働者の受け入れ拡大を図る政府方針を受け、毎日新聞は、人口に占める外国人の割合がおおむね5%以上の50市区町村(政令市の行政区は1自治体としてカウント)を対象にアンケートを実施し、48自治体から回答を得た。政府方針への賛否を問う設問では21自治体が賛否を明らかにせず、反対はゼロ。だが、賛成とした27自治体の7割以上にあたる20自治体は「(政府が開始を想定する)来年4月は時期尚早でさらに議論すべきだ」などと「条件つき」の賛成だった。既に多くの外国人が暮らしている自治体から一定の注文が付いた形だ。 受け入れ方針については、政府が新設を目指す在留資格「特定技能1号」(通算5年まで、家族帯同不可)を念頭に質問。(1)賛成(2)賛成だが<在留期間をもっと長くする・在留期間をもっと短くする・永住を認める・家族の帯同を認める・業種を問わずに受け入れる・来年4月は時期尚早で時間をかけてさらに議論する
研究者や地元経済界が岩手県と宮城県にまたがる北上山地に誘致している次世代加速器「国際リニアコライダー(ILC)」について、日本学術会議の検討会は18日、建設には多くの課題があるとの見解で一致した。推進側が目指すILCの早期建設は難しい情勢になった。 ILCは、質量の起源である素粒子「ヒッグス粒子」を調べて宇宙の謎に迫るとされるが、建設費は8000億円に上…
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