ケンドリック・ラマ-。1人のアメリカ人ラッパーの言葉が、いま、世界を動かし、社会から疎外された人々を1つにつなげている。暴力や差別がなくならない混とんとした現代に生きる苦悩を表現してきた彼の歌詞は、世界中の若者の共感を集め、最新アルバムは、優れたジャーナリズムに贈られるアメリカのピュリツァー賞の音楽部門を受賞した。その彼が、ピュリツァー賞受賞後としては海外メディアで初めて、NHKの独占インタビューに応じた。ケンドリック・ラマ-が語る社会を変える“音楽の力”、そして日本へのメッセージとは。(聞き手/科学・文化部記者 斉藤直哉) ことしの「フジロックフェスティバル」に出演するため、5年ぶりに来日したケンドリック・ラマ-。 「取材に応じる」と返事が来たのは、インタビューした日の前日。どんな人物かと緊張して待っていた私たちの前に現れたのは、もの静かで知的な雰囲気の青年だった。 ピュリツァー賞の受賞