ロッキード事件の田中角栄元首相の弁護団長は、大阪高裁長官を務めた元裁判官でした。検事出身のいわゆるヤメ検が、弁護士として検察と法廷で対峙することは珍しくありません。法曹一元、裁判官、検察官、弁護士は立場は違えど法の正義を実現するための職務というのが建前ですから、元特捜部長が特捜部が摘発した被告の弁護人になったからと言って「裏切り者」ということにはなりません。その点は留意しておきたいところです。 特捜部の手の内を知っていることは、被告としては頼りになると思います。ただ、あくまで一般論ですが、特捜経験のあるヤメ検なら、特捜の正義が身に付いていますし、ややもすれば特捜の視点でものを見てしまいがちです。特捜から見れば、話が通じる相手とも言えます。 検察にとって一番嫌なのは、トランプ大統領のように論理抜きのゲリラ戦を仕掛けてくる弁護人だと思います。良識抜きのディールを持ちかけてくる弁護人も扱いにくい