今日の料理は、広東料理の白切鶏(茹で鶏)。鶏を茹でて、タレにつけて食べる。それだけの料理だが、僕は単純にして至高の鶏料理だと思っている。 広東には「無鶏不成宴(鶏料理がないと宴席が成り立たない)」という言葉がある。つまりはそれほど鶏料理を重要視しているのだが、数ある鶏料理の中でも王様的存在が白切鶏だ。 「ただ鶏を茹でるだけの料理が王様?」とあなどることなかれ。うまいこと茹でた鶏は、しっとりした肉はもちろん、艶やかな皮やその下のゼラチン質、骨周りの軟骨など全てがご馳走になるのだ。 白切鶏 白切鸡 báiqiē jī白切鶏(茹で鶏)一度この料理の旨さを知ったら、食べるときは無我夢中。口の周りをテラテラ光らせながら、骨までしゃぶりつくすようになる。鶏を味わう醍醐味とはこういうことだなと、いつも思う。 元々広東料理には、「素材の持ち味をそのまま活かす」という和食にも似た精神があるので、その精神にピ