女性刑務所を舞台とする『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』は「犯罪者であってもみな人間」ということを描いている。殺人犯もドラッグディーラーも児童誘拐犯もそれぞれ事情を抱える人間である。ここまでは多様性の面で評価を手にするNetflixの看板作品と聞けば予想がつくだろう。本作の突出した点は、いわゆる反差別思想の対極に在るとされる差別者なども「悪人と言い切れない人間」として細かく発信しているところだ。 【目次】 オレンジ・イズ・ニューブラックの差別者たち 「みんな(大体)いいやつ」の難しさ 1.オレンジ・イズ・ニュー・ブラックの差別者たち 今日のアメリカ的リベラリズムの「対極」、または「敵」とされがちな存在 も『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』(以下『OITNB』)のメイン・キャラクターに加わっている。同性愛差別者、女性差別者、レイピスト、排外的で差別的な宗教保守信者、ネオナチ白人……そんな