多機能情報端末「iPad(アイパッド)」の商標権を巡り、米アップルと中国企業が激しく争っている。 「世界の市場」として注目される中国では商標権を巡るトラブルが多発しており、グローバル企業による中国進出の大きな壁となっている。 ◆2000年に「iPAD」 「並べてはいるけど、見てもらうだけ。販売はしていません」。中国南部、広東省恵州市の地方裁判所で今月17日、アイパッドの販売差し止め命令が下った。売れ筋商品を失った家電量販店の男性店員は言葉少なだ。 訴訟の原告は、中国でアイパッドの商標権を持っていると主張する広東省深セン市の情報技術(IT)機器メーカー「唯冠科技」だ。唯冠によると、同社は2000年に画面をさわって操作するパソコン「iPAD」を欧州で発売。同時に台湾のグループ会社がアイパッドの商標権を取得した。 その後、唯冠はアップル側に商標権を売却したが、唯冠は「売却したのは海外での商標権。