<日本の技術力が軍需に囲い込まれていくと、民生品を中心に発展を遂げた日本の技術力は衰退する> 科学技術研究の成果を軍事利用しないという、日本学術会議の宣言が話題になっているようです。この問題ですが、「自分たちは人を殺すための研究はしたくない」という強い感情や、戦後日本が軽武装国家を選択したことを前提とした政治的な立場の表明という部分はあるかもしれません。 ですが、そこを論点にしてしまえば、それこそアメリカにおける左右対立のように、国論を二分して感情論の対決に行き着きます。結果として、合意形成も難しくなってしまいます。 そうではなくて、実務的な理由を中心に議論することを提案したいと思います。 一般に軍事技術というのは、民生用技術と表裏一体の関係があります。19世紀から20世紀にかけてもそうで、平和な時代には民生品の発展向上に使われた技術が、戦争目的に転用されたこともあるし、戦時に軍需目的で研