権力の欲望が渦巻く永田町に秋風ならぬ、すきま風が吹いている。舞台の主役は政権与党の頂点に立った岸田文雄首相と、自民党最大派閥の影響力を背景に「令和のキングメーカー」となった安倍晋三元首相だ。主要メディアの予想を覆す勝利を総選挙で手にした岸田自民党だが、2人の最高権力者の間に生じた微妙な距離感に不安を抱く声は少なくない。 【写真】2018年の自民党総裁選では不出馬を表明し、安倍元首相の支持に回った岸田首相 「3A」──。9月末の自民党総裁選で岸田氏の勝利に貢献したといわれる安倍氏、麻生太郎元首相、甘利明元経済再生相の3人の「A」は、歴代最長の5年以上も幹事長職に君臨した二階俊博氏にかわる「キングメーカー」として、岸田政権で圧倒的な存在感を放つ。 実際、岸田氏は自民党第2派閥の麻生派(49人)から麻生氏を党副総裁に、甘利氏は党ナンバー2の幹事長に任命。安倍氏が絶大な影響力を持つ最大派閥・細田派