金融史がわかれば世界がわかる―「金融力」とは何か (ちくま新書) 倉都 康行 いまの金融危機はどんなことがおこり、どうなってゆくのか。しろうとにとっては金融の話は雲をつかむような実感のとぼしいものになりがちだ。英国の金融興亡、米国の金融覇権といった巨視的な歴史をながめれば、理解しやすくなるだろうということでこの本を手にとる。 実務畑を歩いてきた著者の本でだいぶ理解しやすいのだろうけど、私は文章にしっかりと足をつけている状態から、しばしば興味がはがれる箇所に出会う。金銭取り引きや数学的な話になるととたんに内容から遠ざかってしまう私は、理解不能なものに対する省略法がなかなか発達してしまっているのだろう(笑)。「なんでか、なんでか」と問うてしまう私は腑に落ちないものにたいしては理解を拒む。事実をそういうものにして理解するという便益法ができないのである。数学がまるでできないということである(笑)。