国際政治、国際法、医学をそれぞれ専門とする研究代表者、研究分担者がそれぞれの専門を活かして感染症対応の国際法制度の歴史、現在提案されている新たな法枠組みの法的課題の分析、各国の立場、船舶や知的財産など個々のテーマに関する条文の分析に取り組み、具体的な法制度のあり方、今後の交渉の進め方、日本の立場について具体的な提言を行なった。 詫摩佳代は感染症の国際的な法制度が歴史的に国際環境の変容に伴って柔軟に変容してきたこと、とりわけ近年に関しては、人新世の新たな課題も浮上しているなか、法制度の抜本的な改正が求められること、他方、地政学的な分断の深まりを受け、国際合意が厳しさを極める中で、IHR改正・パンデミック条約成立実現に向けた努力と並行して、それ以外の取り組みを強化する必要もあると主張する。鈴木淳一は交渉の現状を分析し、2023年3月末現在で、①WHO中心として複数の国際文書の交渉が並走して行わ