インターネットを通じた虚偽情報の拡散、特定の人や集団への悪意に満ちた攻撃…。誰もが情報を発信できるデジタル社会は、人々が内包する負の部分をさらけ出している。なぜ極端な言動が拡散するのか? その背景を考察する。 インターネット上で他者を誹謗(ひぼう)中傷する事件が絶えない。記憶に新しいところでは、新型コロナウイルス禍で感染対策やワクチン接種を呼びかけた医師らに対し、激しいののしりが交流サイト(SNS)で発信された事案だ。発言内容への批判だけでなく、容姿を中傷し、殺害予告のようなリプライ(投稿への返信)を送りつけたケースもあった。 「正義の味方」を自認する人々 コロナに関する有益な情報をネットで提供し続けながら、すさまじい誹謗中傷を受けた大阪大学の忽那賢志(くつな・さとし)教授や埼玉医科大学の岡秀昭教授らは、発信者についての情報開示を求めて裁判所に申し立てた。開示請求は認められ、一部の投稿者と