学校の国語の授業で、こんな問題を解かされたことがあるだろう。 「下線部のときの主人公の気持ちを書きなさい」 おもしろくもない小説を読まされて、主人公が思っていることを書かされる。そこで先生が用意したものと違う気持ちを書いてしまえば「✕」だ。主人公の気持ちには「答え」があって、それに合わせないといけない。 ぼくらが国語の授業で習ってきたのは、こうして相手の気持ちを汲みとり、空気を読み、他人に合わせることだった。自分がどう思うかは関係ない。とにかく先生の用意している「答え」を探りあてることが重要だった。 もしこれを「国語力」というのなら、これからの書き手にはあまり必要のない力かもしれない。もちろん、相手の気持ちを考えることは大切だし、文法などの基本的な国語力は必要だろう。 ただ、みんなと同じような解釈をして、みんなと同じような整然としたアウトプットをするだけなら、人工知能でもできてしまう。 も