【前書き・概要】 さて、最近は劇場映画づいている(意味不明)当ブログですが、今回も(ちょっと観に行ったのが遅かったですが)新作、ジュリアン・ムーアがアカデミー主演女優賞を受賞した『アリスのままで』を鑑賞しましたのでこの感想を書きたいと思います。 本作は、若年性アルツハイマー症であるアリスを主人公とし、彼女がSTILL=感情的にも身体的にも動きを喪失していく様、劇中のセリフを借りれば正に「地獄」を描きながらも、STILL=それでも未だ彼女であり続けられる、残り続ける要素とは何であるのか、という人間性への問いが込められています。 監督・脚本のリチャード・グラッツァーはALS患者であり、今年の三月に亡くなっています。本人の情念も乗り移った様なこの映画は、感動・感涙を名目とした「難病もの」には当てはまらず、ただひたすらにこの病気というものの恐ろしさとそれを巡る社会あるいは家族の有り様を冷酷に現実的