Blue あなたとわたしの本 193 妻と作る 僕の妻はバンドを組んで歌っている。オリジナルをやる。曲はギターの男性が作り、詞は妻と僕とで作る。曲が先にでき、妻がそれを聴いたイメージを僕に伝え、僕が言葉にする。妻は「あなたはわたしのアイディアを歌詞にしているだけだ」などと言ったりもするので、「アイディアなんてものはそれだけあっても作品にはならないんだよぉ」と言い返す。僕の本職はフリーのライターで、雑文全般を引き受けている。想像力、は自分で言うのもなんだがあんまりないようだ。だからじっさい妻の奇抜でカラフルなイマジネーションには舌を巻いている。たしかに妻のアイディアを僕は言葉にしているだけなのだ。彼女がその個性的な声で歌うと、単語の一つひとつがきらめき、躍動するのがわかる。ステージで輝いている妻を見るのが、僕の生きがいだったような気がする。 だから妻が死んでしまったとき、生きていく気力を失っ