逮捕を報じた記事で地番入りの住所を書かれプライバシーを侵害されたなどとして、静岡県内の夫婦が静岡新聞社に計660万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が18日、東京高裁であった。渡部勇次裁判長は「違法なプライバシー侵害には当たらず、記事の掲載時点で地番公表が一律に許されないとする社会通念はなかった」として適法と判断。プライバシー侵害を認定し計66万円の賠償を命じた1審静岡地裁判決を取り消し、請求を棄却した。 判決によると、夫婦はブラジル国籍で、平成30年6月に覚醒剤取締法違反などの容疑で逮捕された。記事は同7月の朝刊に掲載。逮捕容疑や氏名、職業、地番を含む住所などが書かれた。その後、夫婦は嫌疑不十分で不起訴となった。 判決理由で渡部裁判長は、逮捕記事での地番情報は「プライバシーに関わり法的保護の対象」とする一方、「重大犯罪の容疑者特定は公共の利害に関する重要な事項として報道される必要性が高