自分が企画・演出をした作品について書くことはやってはいけない。人気があればいろいろな方が解説をしてくださるのだが、そのようなことがなかった『Gのレコンギスタ』だから、自分で太鼓を叩くことにした――。 そんな書き出しとともに、富野由悠季氏がアニメ制作への考えを赤裸々に綴った一冊が『アニメを作ることを舐めてはいけない -「G-レコ」で考えた事-』(KADOKAWA)だ。ここでは同書の一部を抜粋し、79歳で巨大ロボット物の演出をする巨匠・富野由悠季氏の作品制作への思いを明らかにする。(全2回の2回目/前編を読む) ◆◆◆ アニメの実写的演出と、実写のアニメ的演出 ぼくの場合は、テレビアニメを映画館で、という意識があったから進化させることしか考えていなかった。この場合の“進化”は、子供向けを大人でも見られるようにするといった意味だ。しかし、これを突き詰めると実写そのものを追求するということになる。
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