私は12歳で盗っ人の道に入り、30歳代半ばまで“稼業”としていた。その間3回つかまり、延べ10年以上にわたって服役した。足を洗って30年たつが、当時のことはいまでも鮮明に覚えている。 ひょんなことから数年前、警視庁のある警視に防犯活動への協力を要請された。以来少しずつ自分の経験を話すようになってきた。日経ホームビルダーにも2005年1月号の特集で協力している。過去の体験を書きつづったことはこれまでなかったが、どうしてもと頼まれたので、印象に残るいくつかを告白することにした。 面格子をはずして住宅に侵入したことは何度もある。そのなかで、いまでも脳裏にこびり付いているのは、石川県羽咋市の戸建て住宅に、深夜0時ごろ決行した忍び込みだ。うかつにも、若い女性が入浴している最中の浴室に侵入してしまったのだ。 浴室や寝室の電気が消えてしばらくたったので家の人が寝静まったと思い、浴室の面格子をはずして窓を