「もう少し前に見てほしかった」。2日、岩手県陸前高田市の避難所になっている市立米崎小を訪れた菅直人首相は約20分で立ち去った。東日本大震災発生から3週間以上たっての視察に「正直言って、何をしに来たの」と冷ややかに見る住民も多かった。 菅首相は青い作業着姿で、自衛隊が入浴サービスをしているグラウンドにバスで着いた。米崎小には約160人が避難するが、壊れた自宅の後片付けに出ている人も多く、体育館にいたのは約60人。首相はその半数ほどの住民に直接声を掛けて回った。 「どれくらい被災者の状況を見てもらえたのか」。両親と3人で避難する漁師佐藤一男さん(45)の表情は厳しい。「電気や水が通っていない避難所もある。遺体の捜索すら手を出せない人もいる。そっちに気を向けて」と話した。