ヒーローや悪役が登場するアメリカン・コミック原作の大作映画が次々にヒットを飛ばしているなか、それらとは全く異質なタイプの、しかも圧倒的な映画が生み出された。アメコミを代表する人気ヒーローであるバットマンの宿敵が誕生するまでの過程を描いた、問題作『ジョーカー』である。 本作が映し出していくのは、ジョーカーになっていく不幸な男アーサーの体験であり、彼の脳内の物語である。観客は、本作の物語と演出によって、その道程を彼とともに歩み、そこに生まれる狂気をも追体験することになる。ときにそれは、一部の観客が映画に影響を受け、凶行を犯す危険性を意識的に助長すらしているようにも感じてしまう。なぜなら本作は、ジョーカーというカリスマに感化され扇動される人々を描いているからである。 ここでは、その圧倒的内容からヴェネチア国際映画祭の最高賞である金獅子賞まで獲得してしまった『ジョーカー』の内容を紐解きながら、衝撃
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