第41回 「心情」から語る靖国論(4) ~戦没者の魂はどこにいくのか~ 東京財団前会長 日下 公人氏 2006年10月5日 死者の魂は「草葉の陰」にいる 靖国神社が神社である以上、死者の鎮魂は神道にのっとって行われるはずだ。そこで、神道における「死者」の考え方を知る必要がある。神道において、霊魂とは何なのか。死者とは何なのか。 以前にわたしは神道の解釈をひろさちやさん(宗教評論家)に聞いたことがある。ひろさちやさんは仏教の本をたくさん書いている人だが、神道のことも教えてくださった。 「神道では、人間が死んだら霊魂はどうなるんですか」と聞くと、ひろさちやさんは「人間が死んだら、魂は家の周りの低いところにいるんです」と答えた。 わたしは「黄泉(よみ)の国」を思い起こした。道教において、死んだ人が行く黄泉の国は地下にある。その考え方が日本にも入ってきて、天照大神やスサノオノミコト