ママを選んで生まれてきたよ、というフレーズがある。ちょっとオカルティックに聞こえるかもしれないが、現代社会で必要とされ、流通している言葉のひとつだし、想像するに、この言葉は祝詞のたぐいなのだろう。 しかしそれを度外視して、穿った見方で眺めるなら、オカルティックでもなんでもない事実でもある。確かにママは選ばれた。だからその子は生まれてきた。父親によって。むしろ社会や環境の選択によって。母親として選ばれた選択の基準は何だったのだろう? 容姿だったのか、若さだったのか、経済力や才能や性格だったのか。なんにしても、母親として選ばれるに足りるものが先立たなければ、原則として母親は母親になれない。 その母親を選んだ父親においては、尚更である。父親として選ばれた選択の基準は何だったのだろう? 経済力だったのか、容姿だったのか、才能や性格だったのか? 動物の世界では、雄は雌に選ばれるか選ばれないかのギャッ