去る9月9日、政府は、新型コロナウイルス対策、低所得世帯への5万円給付などのための3兆円台半ばの予備費の使用を決めた。4月の約1兆円に続く巨額の予備費使用である。 最近の巨額の予備費については、国会で議論され、メディアでも取り上げられているが、民主主義の根幹にかかわる問題だ。昨今の予備費は憲法の趣旨を逸脱しているからだ。手続きと内容の両面で問題があり、背景には、首相の権限を強化する平成の統治機構改革がある。 予備費は例外措置 憲法第87条は、「予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる」と規定する。予算において、予備費の総額だけ議決し、その使途については、内閣の判断で決める。通常の予算では、細かく言えば、各省庁の電気代まで使途が事前に決められているが、予備費は使途を定めておらず、いわば内閣の署名で使える白紙の小切手帳だ。 200
![憲法の趣旨に反する予備費の乱用 | | 田中秀明 | 毎日新聞「政治プレミア」](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/663ad0c2271b1879ef7cccc379313a016ecf2231/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn.mainichi.jp%2Fvol1%2F2022%2F09%2F30%2F20220930pol00m010003000p%2F0c10.jpg%3F1)