『スリー・ビルボード』をみました。以下感想。 アメリカ合衆国、ミズーリ州、辺鄙な街、エビング。おそらく、現代。人通りもまばらな街はずれの道沿いに、もはやその機能を果たしていないぼろぼろの三つの広告看板があった。娘を強姦殺人によって失い、遅々として進まぬその捜査にいらだちを覚えていた女、ミルドレッド・ヘイズは、その看板を使って警察を挑発することを思いつく。その思い付きが嵐を招くこともしらずに、あるいはそれを予感して。 中西部の田舎町で、三枚の看板が巻き起こした騒動を描く『スリー・ビルボード』は、極めて類型的な場所で極めて記号的に配置された人間たちが、事件を通してその記号からほのかに逸脱していく、そのような映画だった。娘を奪われ怒りを燃やす女、彼の世の怒りの矛先を向けられる警察署長、その署長に心酔する、粗暴な警官。この3人が、とりわけ女と暴力警官とが、いままでいた場所とは違う場所に辿り着く、い