90年代のヒップホップ業界では様々なことが起きていた。前期は80年代後半から続くギャングスタラップ全盛期。それまでの、レコード店の自己申告の売り上げ記録で集計されていたヒットチャートが、1991年に各店舗に導入されたサウンドスキャンのシステムにより、機械的に実際の売り上げをデータで反映しはじめ、ラップミュージックのヒットが明確になり、全米のヒットジャンルとして世間に認識されはじめた。 同時に、映画業界とも、より深く結びつき始め、『ボーイズンザフッド』のアイス・キューブ、『ジュース』の2パック、『ニュージャックシティ』のアイス・Tなど、ギャングスタラップのアーティストたちが、自らのイメージを引き受けたようなキャラクターを演じ、役者として評価を受け始める。さらに、数々の音楽雑誌メディアにより煽り立てられた結果、2パックとノートリアス・B.I.Gのビーフが、東西抗争という形を帯びはじめ、その延長
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