初夏から夏にかけてのこの時期は、多くの鳥たちと同様、カラスにとっても繁殖期。明け方の暗いうちからガアガアと鳴きさわぐ恋の鞘当ての季節はややピークを過ぎましたが、これからは雛を育てる時期に入ります。カラスの子育てと言えば、数ある童謡の中でも指折りの有名な名曲「七つの子」がありますね。けれどもこの歌はもう長らく、その不可解な歌詞の意味をめぐって論争が繰りかえされてきた、いわくつきの歌でもあるのです。一体何が不可解なのでしょうか。そしてそこに秘められた意外な秘密とは? 「七つの子」は、大正10(1921)年「金の船」七月号初出の野口雨情作詞、本居長世作曲の童謡です。歌詞については、作曲段階での本居長世と雨情の相談で、「古巣に」が「古巣へ」になるなど、若干の変更がありますが、多くの人が知る歌詞は以下のとおりです。 からす なぜ啼くの (A) からすは山に 可愛(かわい)七つの子があるからよ (B)