このように書くと、すぐに「エリート主義」ではないかと批判されそうである。 私は別に、日本国内の観客がせいぜい数千人しかいないようなヨーロッパの作家映画を持ち出す気はない。 単純に、事実を述べたいだけなのだ。 『アバター』を喜んで見る観客と、『チェンジリング』や『グラン・トリノ』に感動する観客と、『トランスフォーマー』を高く評価する観客、『ジュノ』のヒロインに共感する観客の間には、実際、ほとんど嗜好の共通点はない。 日本政府が映画をさしおいて「振興」しようとしている「オタク」向け商品であるアニメーション(日本製アニメーションの全てではないが、産業としては30代までの独身男性がほとんどを占める「オタク」層に依存している)の愛好家に至っては、まさに「ニッチ」である。 だが、上記の諸作品は、実際には程度の差はあれ、全て「ニッチ」商品ではないか。 50歳以上の観客や10歳以下の観客のほとんどは、『ア