他人が産んだ女児を出生直後から7年間育ててきた栃木県内の50代の夫婦が、法律上も実の親子関係を結ぶ特別養子縁組を求めた家事審判で、宇都宮家裁(間部泰裁判官)が実の親の同意がなくても「子どもの福祉のため」と縁組を認める決定をしたことがわかった。2月10日付で、4月2日に確定した。 普通の養子縁組は戸籍に養子と記され実親との法的関係は残るが、特別養子縁組は、実親が育てられない子どもを、血縁関係のない大人が戸籍上も実子として迎え育てる制度。虐待などの例外を除き実親の同意が必要で、虐待も同意もない中での今回の決定は異例という。 審判で実親は「自分では育てられないが、親子の縁は切りたくない」と主張していたが、間部裁判官は「実の親は女児との交流や経済的支援はなく、夫婦に任せきりだった。子どもの利益を著しく害する状況で、新たな親子関係を築くことが子どもの福祉のためだ」と指摘した。