東京電力福島第1原子力発電所の事故を境に、日本の原子力事業に逆風が吹いている。とりわけ高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)への風当たりが強い。 もんじゅを保有する日本原子力研究開発機構(原子力機構)は先日、研究開発の総事業費の不透明さなどを会計検査院から指摘されたところである。 国会版事業仕分けも実施され、原子力機構を含む予算に対して厳しい目が向けられた。20日から始まる政府の行政刷新会議の政策仕分けでも、もんじゅと原子力機構が改めて俎上(そじょう)に載せられる。 この機会に組織や計画の問題点を徹底的に洗い出すべきだが、高速増殖炉は、国の原子力政策の基盤をなす核燃料サイクルの要の一つとして存続が欠かせない。そのことは確認しておきたい。 高速増殖炉は、燃やしたよりも多くの燃料を生む夢の原子炉だ。エネルギー輸入国の日本にとって実用化の意義は極めて大きい。 もんじゅはその開発途上の原型炉だが、