遂にその時が訪れた。しかし「ヒナコさんグループ」に緊張感や気負いは無かった。それは偏にこれまでの膨大な練習量の賜物と言えよう。クマにしてみても同じ曲をこれ程繰り返し演奏した経験はかって無かった。 「行くよ」ステージへ続く暗い通路に響いたクマの言葉に、ヒナコは大きく頷いてムーの肩を軽く叩き、両手にギターを抱えていたクマとアグリーは、目だけで互いに合図し合う。そして足を踏み出した。 その30分程前、彼等に文化祭準備委員長から持ち時間短縮の要請があった。「二曲位カット出来ないか」それは十分予想出来た事だったがスケジュールは押していた。 だがそれに対しクマは毅然として答えた「それは受け入れられない。僕等はこの40分間、ただその為だけに、この半年間を送って来たんだ。一曲たりとも外す訳にはいかない。それでも可能な限り曲と曲の間を短くするように努力はする」 スポットライトに照らされたステージからは、客席
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