≪あきれた貨物検査法廃案≫ 国際信義をこれほどまで易々(やすやす)と裏切っていいのか。北朝鮮ではない。我が日本のことである。 7月21日の衆議院解散により、衆議院本会議で与党の賛成多数をもって可決された北朝鮮貨物検査特別措置法(臨検法)が廃案となってしまった。今年の5月に北朝鮮で第2回目の地下核実験が敢行され、これに抗して国連安保理での対北制裁決議を主導したのは日本である。しかし、安保理制裁決議に踏み込んだ時点では臨検を可能とする根拠法が、日本には実は存在しなかったのである。 臨検法を国会で成立させるという不退転の決意で安保理制裁決議を勝ち取ったのであれば、他のすべての法案に先んじその成立を期して国会に臨まねばならなかったはずなのに、なんと廃案である。 臨検は軍事攻撃とみなして反撃すると北朝鮮はいう。他国の兵士の命を盾にして自分は拱手(きょうしゅ)傍観か。中露が臨検を忌避してもこれを難じる