原発事故の当日だったか翌日だったか、記者会見で政府高官が「モニタリング・ポスト」をうんぬんし、それと前後してべつな高官が「ベント」を指示したとか、しなかったとか、しきりに「ベント」ということばを使用なさっているのをききながら、ああ、これじゃダメだ、とわたしはひそかにおもった。原発事故でカタカナ語の洪水 「モニタリング・ポスト」というのは各地に配置された「観測装置」ということである。「ベント」のほうは文脈からアタリをつけて解釈してみたら、どうやら「ベンチレーション」すなわち「排気」あるいは「換気」という英語の略であるらしいことがわかった。英語の語彙数のすくない人間にはなんのことやらわからない。英語を知っていてもカタカナ表記の和製略語になるとよほどの想像力をもってしなければ理解できない。難儀なことである。ここは日本国。説明なさる高官もわれら人民も日本人。日本語でいってちょうだい、といいたくなる