トキのひなが生まれた。待望の自然界での孵化(ふか)である。新潟県佐渡市で杉の樹上の巣の中に3羽の姿が確認された。 野生状態での誕生は、昭和51年以来、36年ぶりのことである。佐渡トキ保護センターなどの関係者のこれまでの努力をねぎらいたい。 今回のひなをはじめとして、これから野外生まれの世代が形成されていく。この新世代が来年以降、繁殖に加わることで、トキの再生への道は確かなものとなっていく。 ここまでたどり着くのに長い道のりだった。日本産トキの最後の個体が死んだのは、平成15年のことである。現在、佐渡島の野山にいる四十数羽は、中国から贈られた同種のトキを人工飼育下で繁殖させ、放鳥したものだ。 トキの復活は、いったん絶滅状態になった動物を、元の水準にまで回復させることがいかに大変であるかを教えてくれている。この1羽の孵化までに投じられた費用は、32億円に上る。 かつてトキは、日本の各地にいた。
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