近ごろは、どこの会社でも役所でも愛煙家は肩身が狭い。くわえたばこでパソコンに向かうなどもってのほか。ちょっと一服のためには、階段を上り下りして狭い喫煙室に駆け込むしかない。 ▼家に帰っても副流煙の害を知り尽くしている家人に白い目で見られ、ベランダでしか紫煙をくゆらせられないホタル族がなんと多いことか。そんな流浪の民が、脚光を浴びるひとときがある。 ▼たいがいの喫煙室は、部局を超えて人が集まってくる割に狭く、黙って吸っていてもうわさ話はいやでも耳に入る。ことに人事の発令前にはまことしやかな情報が飛び交い、愛煙家もそのときだけは人事通としてちやほやされる。 ▼もちろん「喫煙室情報」は、当たりもあればはずれもある。格段にはずれが多いのだが、たまに当たる。だからといって情報が事前に漏れたから、という理由で人事が差し替わるケースはまれである。そんなことをすれば、トップの見識が問われるからだ。 ▼永田