以前、法人減税がどの程度の賃上げにつながるかについてクルーグマンやマンキューやサマーズやファーマンやマリガンやデロングが議論を繰り広げていたが(cf. ここ、およびその後続記事)、クルーグマンが改めてその問題を表題の記事(原題は「Tax Cuts and Wages Redux (Slightly Wonkish)」)で論じている。 そこで彼は以下の3種類の説(および現象)を紹介している。 楽観論者の説 ケビン・ハセットやTax Foundationは以下のような説を唱えていた。 財や労働の市場は完全競争に近い。 米国は世界資本市場の一部であり、その市場では税引き後の利益率は概ね均等化される。 従って、法人税率を引き下げると米国は世界から資本流入を惹き付ける。資本ストックの増加により資本の税引き前利益率が下がり、労働を求める競争は高まる。そのため、賃金は上昇する。長期的には減税の便益はすべ