前回の記事では、JR宝塚線脱線事故当時、個人情報の「第三者提供」で混乱した医療機関の事例を取り上げた。 乗客の中には、通勤や勤務中の移動で事故に遭遇して死傷した、会社員が多く含まれていた。今回は、企業経営の最重要事項である従業員の安全と健康の確保の視点から、この事件について考えてみたい。 従業員の安否情報提供は個人情報の「第三者提供」になる 脱線した電車に乗り合わせて死傷した乗客は、仕事中や出張中なら「業務災害」、通勤中なら「通勤災害」として、労災保険の給付対象になる。「業務災害」に該当する場合、乗客の勤務先の会社には、労働安全衛生法上の安全衛生管理義務の問題が関わってくるし、「通勤災害」に該当する場合も、欠勤の取扱いなど雇用管理の問題が関わってくる。 いずれにせよ、事故や災害が発生した時に従業員の安否を確認するのは、会社として当然の義務だ。従業員の健康情報の取扱いに関しては、労働安全衛生