残ったのは母と娘の2頭だけ。もはや自然には繁殖できない――。 ケニアで保護されているキタシロサイは、世界で最も絶滅の危機にひんした動物だ。1960年代にはアフリカ中央部に2000頭以上生息していたが、漢方薬の材料や装飾品として角が高値で取引され、密猟や環境破壊で激減。国際自然保護連合のレッドリストで「野生絶滅」とされている。 キタシロサイを絶滅から救おうと、最先端の生命科学を駆使した国際プロジェクト「バイオレスキュー」が進む。まだ生殖能力がある娘から採取した卵子と、すでに死んだ雄の個体の凍結した精子や体細胞を使い、人工的に繁殖させる試みだ。 同時公開の記事があります。 ◇生命科学の進歩が問う「命」 宗教学者・島薗進さんが出した答え ※『神への挑戦 第2部』好評連載中。生命科学をテーマに、最先端研究に潜む倫理や社会の問題に迫ります。これまでの記事はこちら 次回:人は「生命」を生み出すか(4月
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