ブックマーク / www.countryteacher.tokyo (6)

  • 沢木耕太郎 著『天路の旅人』より。沢木耕太郎 meets 西川一三。『深夜特急』meets『秘境西域八年の潜行』。 - 田舎教師ときどき都会教師

    西川が疲れからついついうつうつらしかかると、「寝るな」と揺り起こされてしまう。それは蒙古に帰ってからの土産話になるよう、できるだけ多くのものを見させようとする親切心からなのだった。 バルタンのこの幼児のような振る舞いに、西川も心を動かされないわけにはいかなかった。自分はついに来は敵地であるインド亜大陸に足を踏み入れたという抽象的なことに感動しているが、バルタンは見るものすべてに感動している。それは旅をするということの最も根源にある喜びを体現しているようでもあった。 やがて、夜明け近くに、汽車は巨大なカルカッタの東の玄関口であるシアルダー駅に着いた。 (沢木耕太郎『天路の旅人』文藝春秋、2022) こんにちは。昨日、20代の頃に旅をしていたときの写真をクラスの子どもたちに見せました。他者理解をテーマにした総合的な学習の時間「結局、人。やっぱり、生き方。~オリパラ編~」の一コマです。単元全

    沢木耕太郎 著『天路の旅人』より。沢木耕太郎 meets 西川一三。『深夜特急』meets『秘境西域八年の潜行』。 - 田舎教師ときどき都会教師
    aka_koushi
    aka_koushi 2022/11/26
    沢木耕太郎さんのこの作品気になっています。『深夜特急』を思い出します。ご紹介ありがとうございます。
  • 三浦英之 著『五色の虹』より。かつて「日本人、中国人、朝鮮人、モンゴル人、ロシア人」が寝食を共にした大学があった。 - 田舎教師ときどき都会教師

    満州国は日政府が捏造した紛れもない傀儡国家でしたが、建国大学で学んだ学生たちは真剣にそこで五族協和の実現を目指そうとしていた。私が建国大学を振り返るときに、真っ先に思い出されるのはそういうところです。みんな若くて、当に取っ組み合いながら真剣に議論をした。我々に足りないものは何か、我々は何を学べばいいのか。私は朝鮮民族でしたから、他の同窓生とはちょっと感想が違っているかもしれませんが、日人学生たちはいかに日が満州をリードして五族協和を成功させるのかについて熱くなっていたような気がします。中国人学生は、満州はもともと中国のものなのに、なぜ日が中心となって満州国を作るのか、という批判が常に先に立っていました。その点、朝鮮人学生たちは最も純粋な意味で、五族協和を目指していたと言えるのかもしれません。 (三浦英之『五色の虹』集英社文庫、2017) おはようございます。建国大学というのは「幻

    三浦英之 著『五色の虹』より。かつて「日本人、中国人、朝鮮人、モンゴル人、ロシア人」が寝食を共にした大学があった。 - 田舎教師ときどき都会教師
  • アニー・エルノー 著、堀茂樹 訳『シンプルな情熱』より。アートは自由にする。恋愛も自由にする。 - 田舎教師ときどき都会教師

    ものを書くという営みの時間は、恋の時間とは、まったく別物だ。 けれども、ペンを執った時点では、書くのは、まさにあの、見る映画の選択から口紅選びまで、何もかもが同じ方へ、ある人の方へ向かって流れていた時間の内にとどまるためだった。最初の数行から、ごく自然に「・・・・・・していた」「・・・・・・するのだった」という書き方をしたのは、そういう書き方が、時の言い表し方として、私が終わらないでほしいと願っている持続に、「あの頃、人生はもっと美しかった」といった思いに、また、同じモチーフの永遠の反復にふさわしいからだった。 (アニー・エルノー『シンプルな情熱』早川書房、2002) こんばんは。先週末、銀座にある吉井画廊に足を運んで、女優で画家の蜷川有紀さんの個展『薔薇の神曲Ⅱ』を見てきました。作家でありパートナーでもある猪瀬直樹さんに、再婚するにあたって「恋する日常をしましょう」と囁かれたという蜷川さ

    アニー・エルノー 著、堀茂樹 訳『シンプルな情熱』より。アートは自由にする。恋愛も自由にする。 - 田舎教師ときどき都会教師
  • 落合陽一 著『忘れる読書』より。忘れるような本すらない人はダメだよ、というアイロニー。 - 田舎教師ときどき都会教師

    近代をおさらいするのにうってつけの一冊が、猪瀬さんが著された『ミカドの肖像』です。事実を不可視化するシステムの中で、視えないものをあえて視ようとする日人のマインドが、圧倒的なボリューム感で描き出されています。猪瀬さんは、自身が「MIKADO」という名のロックバンドに行ったインタビューや、かつて、フランスの哲学者ロラン・バルトが皇居を「いかにもこの都市は中心をもっている。だが、その中心は空虚である」(『表徴の帝国』)と説いた表現を引き、 〈「あたかもこの空虚なシンボルの周りを回転しているかのよう」に動いている日の現在のミカドについて立ち止まって考えていただきたい〉 と同著の冒頭で提起しています。 (落合陽一『忘れる読書』PHP新書、2022) こんばんは。寺山修司(1935-1983)に『書を捨てよ、町へ出よう』というタイトルのがあります。もちろんこれは「なんて読まずに、町へ出ようぜ

    落合陽一 著『忘れる読書』より。忘れるような本すらない人はダメだよ、というアイロニー。 - 田舎教師ときどき都会教師
  • 田辺聖子 著『孤独な夜のココア』より。純度の高い恋愛は他から見るといやらしいものだ。でも、かっこいい。 - 田舎教師ときどき都会教師

    いま何をしているのかしら。この頃、テレビで、脚色者としてちょいちょい、出てくる私の名を、彼は見てくれてるかしら。 青年ジルとアンヌ姫のように、私とアイツは、あそこで石になった。そうして三たび、私は目から鱗がおちたようにわかったのだが、アイツと暮らしているあいだ、苦労したとは思えなかったのだ。私は幸福だったのだ。 世俗の風が舞いこんだとき、その幸福は石になったのだ。五年たってやっとわかった。 (田辺聖子『孤独な夜のココア』新潮文庫、1983) こんにちは。世俗の風は田辺聖子さん(1928-2019)が青春時代を送っていた頃よりも一段と強くなっているのではないかと感じます。世俗の風というのは「普通は」とか「男なら」とか「いい年して」とか、自分ではなく他人がつくったものさしを意識してしまったときに吹く熱冷ましみたいな風のことです。小学校でいうところの学校スタンダード、あるいは行き過ぎたコンプライ

    田辺聖子 著『孤独な夜のココア』より。純度の高い恋愛は他から見るといやらしいものだ。でも、かっこいい。 - 田舎教師ときどき都会教師
  • 今井孝 著『誰でもできるのに9割の人が気づいていない、お金の生み出し方』より。たった一つを変えるだけ。 - 田舎教師ときどき都会教師

    ネットで活躍している人の集まりに行くと、フォロワー数の多い人を羨望の目で眺めます。 ジムに行けば、鍛えられた肉体の人を見て落ち込んでしまいます。 社会貢献の団体の集まりに行くと、売上げばかり気にしている自分を振り返り、なんて小さな人間なんだろうと自己嫌悪に陥ったりします。 どこに行っても他人と比較して、どんどん自信を失っていくのです。 (今井孝『誰でもできるのに9割の人が気づいていない、お金の生み出し方』幻冬舎、2022) こんにちは。閉庁日が終わってしまいました。学校に行けば、キラキラ系の同僚を見て落ち込んでしまいます。2学期の準備はもう完璧(!)なんて話を耳にすると、終わっていない仕事ばかり気にしている自分を振り返り、なんて小さな人間なんだろうと自己嫌悪に陥ったりします。職員室にいるだけで、夏季休業中に充電したはずのエネルギーが一気になくなっていくのです。そんなヤツは、 君しかいない!

    今井孝 著『誰でもできるのに9割の人が気づいていない、お金の生み出し方』より。たった一つを変えるだけ。 - 田舎教師ときどき都会教師
    aka_koushi
    aka_koushi 2022/08/21
    ご紹介ありがとうございます。今井孝さんのこの著作は見逃していました。読んでみたいと思います。ありがとうございます。
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