西川が疲れからついついうつらうつらしかかると、「寝るな」と揺り起こされてしまう。それは蒙古に帰ってからの土産話になるよう、できるだけ多くのものを見させようとする親切心からなのだった。 バルタンのこの幼児のような振る舞いに、西川も心を動かされないわけにはいかなかった。自分はついに本来は敵地であるインド亜大陸に足を踏み入れたという抽象的なことに感動しているが、バルタンは見るものすべてに感動している。それは旅をするということの最も根源にある喜びを体現しているようでもあった。 やがて、夜明け近くに、汽車は巨大なカルカッタの東の玄関口であるシアルダー駅に着いた。 (沢木耕太郎『天路の旅人』文藝春秋、2022) こんにちは。昨日、20代の頃に旅をしていたときの写真をクラスの子どもたちに見せました。他者理解をテーマにした総合的な学習の時間「結局、人。やっぱり、生き方。~オリパラ編~」の一コマです。単元全