検事総長や検事長らの定年延長を可能にする検察庁法改正案の今国会成立が見送られたが、法務・検察では、今夏にも予想される検事総長人事が次の焦点となる。定年延長で本命視された黒川弘務東京高検検事長(63)の就任は、法案が「政権の恣意(しい)的な人事につながる」との猛烈な批判を浴び、視界不良となった。稲田伸夫検事総長(63)が続投すれば求心力の低下にもつながり、政治との距離や世論の反応を見据えた難しい調整を迫られる。【村上尊一、遠山和宏、巽賢司】 近年は検事総長は2年ごとに交代する検察内部の慣例があり、稲田氏は7月に退官のタイミングを迎える。政府は、2月に63歳で定年退官予定だった黒川氏の定年を閣議決定で8月7日まで半年延長した。検察官の定年延長は前例がなく、夏に「黒川総長」が誕生するのか注目される。 「黒川さんは改革派。検事総長になれば…